売却お役立ち情報

賃貸マンション・アパートを売却する時、
契約不適合責任を逃れることは出来るのか?

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特約で契約不適合責任をつけても安心できない

契約不適合責任とは

不動産取引の契約不適合責任は、ご存知でしょうか?

契約不適合責任とは、以前は瑕疵担保責任と呼ばれていたものですが、売買契約において、売主が販売する不動産が契約で定められた条件や品質に合致しない場合に売主に生じる責任を指します。この責任は、不動産が隠された欠陥を持っているか、または売主が約束した性能を満たしていない時に、購入者が売主に対して修補や損害賠償を求めることができるというものです。

しかし、売却した物件に問題があって後から損害賠償請求をされるのは嫌ですよね。そこで、宅建業者ではない一般の大家さんは、賃貸マンション・アパートを売却するときに「契約不適合責任免責」という特約をつけます。

これで安心と思うと、大間違い。

実は、契約不適合責任免責の特約をつけていても、後日、損害賠償請求をされるケースが増えています。民法572条でも、「知りながら告げなかった事実」は契約書で免責と記載されていても免責されないと記載されています。

入居者の一言から発覚

大阪府吹田市にお住まいのFさんは、大阪府摂津市に相続した一棟賃貸マンションを売却しました。仲介会社が作成した重要事項説明書や売買契約書に「契約不適合責任は免責」という一文が入っていたので安心して売却したのですが、水漏れの補修費として買主から600万円請求されました。入居者に水漏れの修繕を依頼されていましたが、それをほったらかしにしていたため、買主がそのことを入居者から聞いて請求してきたのです。

こうなると知っていた不具合を告知していなかったため、免責にはならないのです。つまり、「契約不適合責任免責」と書いておけば安心なわけではありません。

最近、このようなトラブルが頻発しています。そのため、後日トラブルにならないようにするには売主はどうしなければならないかをまとめてみました。

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気になる不具合は全部リストアップする

一番大切なのは、「気になることは全部リストアップする」ということです。そして、それを仲介会社に伝えてください。正直に何もかも伝えると、価格を値切る口実を与えるのではないかと心配される方が時々おられます。しかし、後々数百万円から場合によっては数千万円の損害賠償を請求されるリスクをほったらかしにする方が、はるかに危険だと思います。

具体的に下記の問題がないかを確認してください。

越境

越境があれば、必ず告知してください。あるらしいと聞いたがよくわからないというレベルでも、仲介会社に話して調べてもらうようにしてください。もし越境があるなら、隣地との間で覚書を交わすなどを行いトラブルのない状態で引き渡すようにしてください。

大阪府泉佐野市にお住まいのYさん(仮名)が、岸和田市のアパートを売却しました。そのアパートは建物の一部が隣地に越境していましたが、特に問題もなかったので告知せずにそのまま売却しました。売却後に買主に越境している分の地代を支払えと請求され、聞いていなかったということでトラブルになりました。結局、隣地が要求してきた地代の10年分を支払うことで合意しました。

隣地の上下水管が敷地内を通ってる

元々地主が同じ人だった土地だと、地中に隣地の上下水道管が通っているケースがかなりあります。後になって、地代を払えとか水道管を使うなと言ってきてトラブルになるケースが非常に多いです。

境界トラブル

隣地と境界で揉めているなら必ず告知してください。揉めていなくても、境界上にあるブロック塀の所有者が誰なのかも確認するようにしてください。境界以外にも近隣との間でトラブルが有るなら解決するか、その旨を告知するようにしてください。

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電波障害があって共聴アンテナを使ってる

賃貸マンションが建ったことによって隣地のテレビの映りが悪くなり、マンションの屋上などに共聴アンテナが設置されてることがあります。現在の地デジ化で使われなくなり、取り外すにも100万円以上の費用がかかるということも珍しくありません。そういうことが取引後に発覚すれば、当然売主に請求が来ます。

建物の傾き

これも、致命的な問題になりかねません。もし、傾きがあるならきちんと告知して納得してもらう必要があります。傾きを修正する技術は色々ありますが、どれも多額の費用がかかりますので告知しなければ大問題に発展します。

雨漏り・水漏れ

雨漏り・水漏れがあったら、いつどのような修理を行ったのか、現在はどうなっているのかをきちんと伝えるようにしてください。不動産取引のトラブルで一番多いのは、引き渡し後に雨漏りや水漏れが発覚したときです。

過去に火災があったか

大きな火災はもちろん、ちょっとしたボヤでも言うようにしてください。大阪市中央区にお住まいのJさん(仮名)は、大阪市此花区に保有していた物件を売却しました。10年前にちょっとしたボヤがありましたが、大したことがなかったので何も告知をしませんでした。買主が間取りを変えようとクロスを剥がしたら黒焦げの柱が出てきました。当然大問題に発展し、損害賠償を行わざるを得なくなりました。

過去に事件、事故があったか

過去に事件や事故がなかったのかも、告知するようにしてください。事件事故の中で一番多いのが、室内での自殺です。これは黙っていても、だいたいバレます。気にしない人はしませんが、する人はするので告知しないと契約の白紙解約にまで発展することがあるので注意してください。

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レントロールの数字が間違ってないか念入りにチェックする

収益不動産は、家賃収入がいくらあるかでその価値が決まってきます。間違いがないか念入りに調べてください。1万円違っていれば、物件価値は100万円くらい変わってきます。後で、その分を請求される可能性があります。賃貸契約書原本と実際の家賃収入に相違がないかも、チェックするようにしてください。

要返還敷金の数字が間違ってないか

関西では預かっている敷金を次のオーナーに引き継がない「敷金持ち回り」(関西方式という言い方もあります)の取引が一般的です。そのためその金額が間違っていると収支計算が違ってくるのでトラブルになります。

退去予定があるか、特に敷金の高い店舗

退去予定があれば、そのことも告知してください。特に敷金・保証金が住居より高い店舗などの退去は、引き渡し後に裁判になった事例もあります。神戸市垂水区にお住まいのFさん(仮名)は、神戸市中央区にある賃貸マンションを売却しました。1階に飲食店の店舗が入居しており、保証金500万円を預かっていました。オーナーから半年後に退去すると告げられていましたが、半年後なので何も言わなくても良いと思い告知せずにそのまま取引をしました。引き渡し後に買主が1階の飲食店にオーナーチェンジの挨拶に行き半年後の退去が発覚。売主には伝えいてたということで、トラブルになり裁判となりました。当然売主は敗訴し、Fさんは損害賠償金を支払うことになりました。

入居者に問題のある人はいないか

一番多いのは滞納ですが、それ以外にトラブルの多い入居者がいれば告知するようにしてください。反社会的勢力の方が入居していると、取引そのものが成立せず、仮に引き渡したあとでも白紙解約となる事が多いです。

浄化槽・受水槽のメンテナンスはしてるか

たまにやっていないケースがあります。売り出す前にメンテナンスを行い、その報告書を出すようにしてください。大阪市中央区のN社(仮名)は、大阪府大東市に保有している賃貸マンションを売却しました。浄化槽のメンテナンスを10年以上行っていないことが発覚し、その費用を求められました。バキュームカーが3台来て1日掛かりで汲み取り作業とメンテナンスを行い、多額の費用を請求されました。

消防点検で指摘事項は修正されてるか

消防点検の指摘事項が、きちんと修正されているかの確認をしてください。もししていないなら是正するようにしてください。消防点検をしていないケースもたまにありますが、もししていないなら売却前に行うようにしてください。

エレベータメンテナンスはしているか、指摘事項はないか

エレベータのメンテナンス会社からの報告書に指摘事項はないでしょうか?もしあれば是正するか、問題がある旨を告知するようにしてください。

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決済後によくあるトラブルについてまとめてみました。売却後に問題が発覚して、裁判になり損害賠償請求を求められ「こうなるなら売らなきゃよかった」というケースが増えています。そうならないようにするには、些細なことでも気になることは仲介会社にきちんと話すことです。

ぜひ、トラブルの無い取引をするようにご注意いただければと思います。

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