売却お役立ち情報

大阪で保有している
賃貸マンション・アパートの
売却活動の進め方

売却お役立ち情報

あなたは、お持ちの賃貸アパート・マンション(収益不動産)を売却するとき、どんな手順で、どんなことに気をつけたら、クレームもなく、希望価格またはそれに近い価格で売ることができるかご存知ですか?

弊社は今まで15年以上、400棟以上の賃貸アパート・マンション(収益不動産)の売買に携わり、多くのオーナーさまが物件を売却される現場に立ち会ってきました。

どうせ売るからと不具合を直さなかったり、黙っていたらわからないとご近所トラブルを隠したりする方が多々おられました。特に、収益不動産を相続された方などは、初めての売却という場合が多く、不具合やトラブルさえも知らないことも。

収益不動産は普通の住宅と違い、売買価格も大きいため、「面倒だったから」「知らなかったから」と放置しておいたことが後々、大クレームや大幅値引きの原因になることもよくあることです。

そこで今回は、

大阪で保有している賃貸マンション・アパートの売却活動の進め方

についてまとめてました

売却を思い立ったときに最初にやること

家族、親族の合意をとる

お持ちの収益不動産を売ろうと思ったら、まずはご家族に話をし、合意を取りましょう。

実際、売却活動を進め、さあ契約という段階で、「妻(夫)が売却に反対なので、今回はやめておきます」と言ってくる方が結構おられます。

自分名義の不動産でも、相談もなく売却となったら、気分を害されるかもしれません。あなたには好条件の契約でも、配偶者の方は考えが違うかもしれませんし、知り合いの不動産会社に依頼しようと思っていたかもしれません。

また、売却する収益不動産が、兄弟などの親族と共有名義の場合も必ず合意を取りましょう。契約時に全員の署名が必要となりますし、勝手に売却することはできません。

売却にはタイミングがあります。収益不動産の築年数、構造、立地などによって、好条件で売れる時期は変わります。

家族や親族との合意を後回しにしたことで、そのタイミングを逃さないようにしてください。

顧問税理士に相談する

不動産会社の担当から「今なら高値売却が可能!」という話を聞いたり、知り合いの投資家から「あの物件がこんなに高く売れた!」という話を聞いたら、自分の持っている収益不動産も高く売れるんじゃないかと思いますよね。

でも、ちょっと待ってください。

販売活動を開始する前に、あなたの顧問税理士に「今、売却してもいいか」を確認してください。好条件で売却できる時期であっても、あなたには違うかもしれません。

例えば、売却したい収益不動産を個人で所有している場合。2017年2月にその収益不動産を購入したとします。それを、売り時だからと2022年8月に売却してしまうと、売却益に対する税率は39%(所得税30%、住民税9%)になります。でも、これを2023年1月1日以降に売却すると税率は20%(所得税15%、住民税5%)に変わります。つまり、満5年保有した次の1月1日以前に売却すると税率が高いため、高値売却ができても手残りが少なかった・・・ということになりかねません。

法人で所有している収益不動産を売却する場合も、短期だと売却益がでない場合がほとんどです。また、個人と法人では税率も違います。減価償却などの会計処理、融資の残債、本業との兼ね合いなども検討し、いくら手残りを出したらいいのか、法人の場合はさらに慎重になりたいところです。

収益不動産は少々高値買いしても、長期保有することで、借り入れも減り、減価償却により簿価も下がります。あなたがお持ちの収益不動産にとっての「売り時」を見極めるためにも、顧問税理士に経営面、税金面から必ずアドバイスをもらってください。

壊れた設備は直す

売却すると決めたら、「どうせ売るし、今さら設備を直すなんて、もったいない」と思われるかもしれません。でも、あなたが少しでも高く売りたいと考えているのなら、壊れた設備や各種不具合は直しておきましょう。

弊社は、今まで400棟以上の収益不動産の売買仲介に携わってきました。お客様の現地案内にも、何百回と立ち会っています。これは、不具合を直さなかった収益不動産の現地案内をした一例です。

物件の前で購入を検討されるお客様と待ち合わせをし、まずはエントラスへ。共⽤の郵便ポストが、古くてベコベコに凹んでいるのを⽬にしたお客様の顔が曇ります。次に、オートロックが壊れたまなのを⾒て、表情が失望に変わります。さらに、⽕災報知器のスイッチが錆びついて、動いている気配がない。エレベータに乗るとキーキーと異⾳がする。廊下に出るとホコリを被った消⽕器が、転がっている。共⽤廊下の窓のガラスが、割れたままになってる。その現状を突きつけられ、案内する部屋の前にたどり着いたときは、お客様の買う気は完全に失せているのを感じました。

正確な統計はとっていませんが、お客様を案内して、部屋へたどり着く前にお客様の買う気がなくなる物件が、体感的には全体の7割ほどあります。

ほかにも、⾬漏りしている、漏⽔している、受⽔槽のメンテナンスが⾏われていない、消防点検の指摘事項を放置したままになっている、浄化槽のメンテナンスをしていない・・・など。壊れた設備や不具合を直していない箇所は、物件の大幅値引きの口実にしやすいですし、引き渡し後に発覚すると⼤クレームに発展することもあります。契約書で契約不適合責任免責をうたっていても、知っているのに告知していなかったことはこれには含まれません。

設備の不具合の有無は、買う買わないの意思決定の⼤きな要素です。

もし、オートロックが完全に壊れていて、取り替えに数百万円掛かるというのなら、壊れたものを放置しないで、完全に撤去してください。そのほうが、ずっと印象が良いです。

不具合を直すついでに、外壁と共用部も見直しましょう。汚かったり、薄汚れている場合には、塗り直すことをオススメします。また、屋上が陸屋根だった場合は、「屋上防⽔」の状態を必ず聞かれます。20年以上何もしていないという場合、基本的に屋上防⽔⼯事代として数百万円の⾦額を値引き交渉される材料となります。

所有される収益不動産に値引きや、クレームになるかも?と思う不具合があれば、売却前に直してしまいましょう。また、不具合をどの程度まで直せばいいかわからない場合は、売却を任せる仲介不動産会社に一度相談をしてください。

満室にする

不具合の修繕と同様、「どうせ売るし、今更入居者募集なんて広告費がもったいない」と空室を埋めずに売却活動をはじめるオーナー様が結構おられます。

個人的には売却時の鉄則だと思うのですが、売却するときには、必ず満室にしてから売り出すべきです。

空室があると必ず聞かれるのが、「なぜ空室があるのですか︖」です。賃貸物件なので、時期的にたまたまた1室空いてしまった・・・というのは仕⽅がない話。でも、3室も4室も空いているとなれば、「客付けが厳しそうなのでやめておきます」と断られることが激増します。いくら理由を話しても、空室が何室もある物件=ダメな物件というレッテルを貼られます。そうなると、購⼊希望者は「いくらまで値切れますか︖」と交渉してくるプロや投資家ばかりになってしまいます。

満室であれば、融資額も伸びやすく、購入層が広がります。比較的高めの価格でも購入する相続税対策の方なども、「運営しやすい」と判断し、購入する可能性が上がるでしょう

以上の理由から、高く売るためには、満室にして売り出すのが一番なのです。

残債の確認

あなたは、お持ちの収益不動産を購入するときに借りた融資が、後どのくらい残っているかを把握していますか?

売却活動をするときに意外と把握されていない人が結構おられます。購入して月日が浅かったり、高金利で長期間のローンを組んでる場合、残債があまり減ってない事が多いので、必ず把握するようにしてください。金融機関から送られてくるローン返済表を見れば、今現在いくらの残債が残っているのかを確認することが出来ます。これより売却金額が低いと、売却ができないことがあるので注意してください。

また売却時にはローンの残債だけではなく、金融機関によってはローン中途解約の違約金を取るところもあるので、違約金の有無も調べるようにすると良いと思います。

物件資料を揃える

査定依頼に必要な資料

不動産会社はオーナー様から査定依頼を受けると、物件調査をして⾦額を算出します。現地へ行き、市役所や法務局などで調べるなど、こちらでできるだけの情報収集を⾏いますが、オーナー様ご本⼈にしか分からない事もたくさんあります。

査定するとき、分からないことは悪い⽅に考えるのが⼀般的。つまり、きちんとデータや資料を開⽰することが⾼い査定を引き出すための秘訣なのです。また、売却活動をするときも、データが揃っていないことを材料に価格交渉をされることも。とはいえ、査定段階では時に必要ないものもあります。

ちなみに、査定を依頼するときに揃えていただき資料はこちらです。

  • ①レントロール(家賃表)
  • ②ランニングコスト明細
  • ③修繕履歴
  • ④固定資産税の納税通知書
  • ⑤間取りの入った平面図
  • ⑥建築確認済証、検査済証

「こんな資料まで出すの?なんだか⾯倒くさいな」と思われた⽅もいると思います。しかし、この⾯倒くさいことをやるとやらないとで、数千万円の差が出てきたりするのが、不動産ビジネスの世界なのです。もし売却を考えられた時は、こちらの資料を揃えていただけると幸いです。

では、中でも特に大切な書類として

  • ①レントロール(家賃表)
  • ②ランニングコスト明細
  • ③修繕履歴

について、もう少し詳しく解説します。

レントロールとは?

賃貸マンション、賃貸アパートなどを査定するときに、基準となる考え⽅として、その物件が年間にいくら稼ぐ⼒を持っているかという視点で計算することが多いです。この計算⽅法を「収益還元法」と⾔います。これを弾き出すのに必要なのが、「現在、いくらで貸しているか︖」というデータ、つまりレントロール(家賃表)になります。

これは、オーナー様にしか分かりません。管理会社に管理を任せている場合は、毎⽉家賃の回収などを記録した管理レポートが送付されて来ると思います。そちらのコピーを⽤意してください。

そのレントロールに⼿書きで良いので、空いている部屋の募集条件、各部屋の⼊居年⽉⽇、預り敷⾦、その他特記事項をメモして渡せば良いと思います。⾃主管理の場合は、賃貸契約書などから、各部屋の⼊居条件や⼊居年⽉⽇などを⼀覧の表にすると良いでしょう。

⾯倒な場合は、不動産会社に渡すという⽅法もありますが、初対⾯の業者などに全部渡すのはリスクなので慎重にしてください。

ランニングコスト明細とは?

賃貸マンション経営にかかった運営費⽤をランニングコストと言います。何にいくらかかっているかがわからないと、買主の方は収⽀計算ができません。この部分が不透明だと、買主は、実際の費⽤⾦額よりも多く⾒積もって収⽀計算をしますので、購⼊価格の提示が低くなります。そのため、実際にかかっている費⽤の明細と⾦額をまとめておくようにしてください。

具体的には次のようなものです。

  • 管理費
  • 日常清掃費用
  • 共⽤部電気代
  • ⽔道代
  • インターネット料金
  • 浄化槽のメンテナンス費用
  • 受水槽の清掃費用
  • エレベーター点検費
  • 消防点検費用
  • ゴミ収集費⽤ など

修繕履歴とは?

修繕履歴は購入してから現時点まで、物件の各部屋や共用部に対してかかった費用を指します。⼊退去時の原状回復⼯事、リフォーム費⽤などはもちろんですが、外壁塗装、屋上防⽔、給⽔ポンプの取替と⾔った⼤規模なものも、まとめてください。

とりあえず、次のような⼀覧表を作成しましょう。

年月修繕内容費用
2019年10⽉屋上防水約350万円
2020年05月給水ポンプ取替約30万円
2021年03月401号室給湯器取替約25万円

これをつくるのとつくらないのとで、買主が融資を受ける銀⾏の物件評価が大きく変わってきます。売却⾦額が、1000万円以上変わってくることも珍しくありません。そのため少々⾯倒でも作るようにしてください。資料を渡して売却を任せる不動産会社に頼んでもいいと思います。

売却を依頼する不動産会社を探す

打診する不動産会社を探す

知らない不動産会社に電話したり、訪問したりするのは、とても不安だと思います。知り合いの紹介や大手企業、一括査定サイトで探す手もありますが、頼む会社を間違えると、気が付かないうちに市場価格より安く売っていたということにもなりかねません。

では、どうやって探せばいいのでしょうか?

今からその方法を解説します。ぜひ試してみてください。

まず、あなたのお住まい、もしくは物件あるのエリアで「収益不動産を専門に取り扱ってる仲介会社」をネットで検索します。大阪にお住まいの方なら、「大阪府 収益不動産」「大阪府 不動産投資」といったワードで検索すれば、多くの仲介不動産会社のサイトが出てくると思います。

その中から、次の条件に当てはまる会社をいくつかピックアップしてください。

①業歴のチェック

最近出来たばかりの会社より、ある程度長くやってる会社の方が安心できるかと思います。長くやってる会社は、それなりに実績があるので長続きしているのです。

不動産会社の業歴の見分け方は簡単です。その会社のウェブサイトの会社概要のページを見ると、宅建業の免許番号が載っています。書かれていなければ、会社名で検索したら所属している業界団体のウェブサイトで免許番号を検索する事ができます。
話は少しそれますが、免許番号のない会社=無免許の不動産ブローカーには絶対に依頼しないようにしてください。後々トラブルになる事が⼤半です。

例えば弊社だと、大阪府知事(4)第52945号 というのが免許番号です。

ここでチェックするのは( )内の数字です。宅建業の免許は5年毎の更新で、更新されることに( )内の数字が大きくなります。

弊社の場合は(4)なので、宅建業を開業してから15年以上20年未満という事がわかります。この数字が大きければ必ずしも良いというわけではありませんが、(1)の会社よりある程度実績を積んだ会社の方が安心できると思います。

②代表者や担当の顔写真が出ている会社

不動産会社のウェブサイトを見る時のチェックポイントとして、代表者や担当者の顔写真が載っているか否かを確認してください。

世にいう「悪徳不動産会社」は、絶対に顔写真を出しません。

写真じゃなくてイラストの会社も要注意。もちろん、顔写真の掲載がない会社やイラストの会社が、すべてダメといは言いません。でも、きっちりとしたビジネスをしている不動産会社は、代表者や担当者の顔写真をウェブサイトに出しています。

まずは、そこで選別するのが悪徳不動産会社に引っかからない第一歩です。

③一棟収益マンション・アパートを専門にしている会社

ウェブサイトを見てると何でも取り扱ってるような会社が多数出てきます。

しかし、収益不動産の世界は少々特殊ですので、専門に取り扱ってる担当者じゃないときっちりした査定ができません。会社概要をよく見て、収益不動産専門の不動産会社かどうか確認してください。

特に、今の融資状況をつかんでいないと、正確な査定は出来ません。兼業でやってる会社は、そのあたりがよくわからないのです。

注意するのは、区分の投資マンションと兼業でしているところです。そういう会社は大体、メインが区分マンションなので、一棟ものの査定がきちんとできない事が少なくないのです。

以上の3点を踏まえて、表示された会社の中から4~5社を選んでください。

不動産会社に査定依頼

条件をクリアした会社をいくつかピックアップできれば、一度連絡を取ってみましょう。電話でもメールでも良いと思います。

売却を検討している旨を伝えれば、どの会社からも一度お会いしませんか?という提案を受けると思います。

そのときに、以下の質問を投げかけてみてください。

①価格査定の方法は「積算法」ですか?「収益還元法」ですか?

売却価格の査定は「積算法」「収益還元法」といった指標をもとに、周辺相場や金融機関の融資動向をなどを加味して行います。

「このエリアは収益還元法で計算します。その理由は・・・」と、解説してくれる会社なら市場を理解していると判断して大丈夫です。

②どのくらいの顧客持っていますか?

一棟収益アパート・マンションを専門にしている仲介会社なら、氏素性を把握している投資家顧客を少なくとも数百名くらいは抱えているはずです。

③今まで何棟の賃貸アパート・マンションを仲介してきましたか?

賃貸アパート・マンションの取引実績数も聞いておきましょう。ビルとかテナントとか土地といった話ばかり出てくる会社は、賃貸アパート・マンションの取引実績があまりないと判断して良いと思います。

④実際の売却方法はどんな手法を使うのですか?

「どういう方法で既存顧客にアプローチするのですか?」

「どの媒体に広告を出すのですか?」

まずは、この2つは聞いておきましょう。そういった既存顧客へのアプローチは当然ですが、それで売れなかった場合の対処法も重要です。そこで、

「レインズへの掲載は?」

「同業のネットワークへの情報発信は?」

といったことも聞きましょう。どれだけ多くの投資家に情報を伝達できるチカラを持っているかも、しっかりチェックしましょう。

以上のヒアリングして、実力がありそうなだなと感じた担当者を選びましょう。何社回ると、信頼できそうな担当者と出会えると思います。

一人に絞る必要はありません。2~3人の信頼できそうで力のありそうな担当者に、査定を依頼してみましょう。

媒介契約を締結する

媒介契約には3つの種類があります。

①⼀般媒介

②専任媒介

③専属専任媒介

です。仲介⼿数料はどの形態の媒介契約を結んでも同じです。どの⽅法が⾼いとか安いという差はありません。

では、この3つの媒介形態それぞれの特徴を説明していきましょう。

一般媒介契約の特徴

①⼀般媒介契約は、専任や専属専任とは違い、複数の仲介会社に媒介を依頼することができます。


②専任と専属専任は、レインズという宅建業者だけが閲覧できる売り物件情報のデータベースへの登録が義務付けられていますが、⼀般媒介は任意です。つまり、レインズへの登録をしても、しなくても構いません。

専任媒介契約の特徴

①複数の不動産会社に依頼することはできません。依頼することができる不動産会社は1社だけです。例外:⾃分で直接買主を⾒つけた場合は、その不動産会社を通さずに直接契約することが可能です。


②不動産会社1社にしか依頼できないので、不動産会社側にも縛りがあります。
ⅰ媒介契約を結んで7⽇以内に、レインズへの物件登録が義務つけられています。
ⅱ最低2週間に⼀度以上の頻度で、販売状況を報告する義務があります。

専属専任媒介契約の特徴

①専任媒介契約と同様に、仲介会社1社にしか依頼できません。
注意:専属専任媒介の場合は、⾃分で⾒つけた買主であっても、その不動産会社を通して契約をする必要があります。当然、仲介⼿数料も⽀払う必要があります。


②仲介会社の縛りは専任よりも厳しいです。
ⅰレインズへの登録義務は、専属専任の場合は5⽇以内。
ⅱ売主への報告義務は、1週間に⼀度以上の頻度で販売状況の報告が必要になってきます。

※それぞれのメリット・デメリットも以下のe-bookでまとめています。ぜひ、ご一読ください。

どの契約形態を選べばいいのか?

不動産会社の⽴場では⾃社を専任にした⽅がメリットは⼤きいですが、売主⽬線で⾒たときは「⼀般媒介契約」がオススメです。

一般だと不動産会社が頑張らないというのは、不動産会社が専任媒介を取るための⼝実です。⼀般だろうと専任だろうと不動産会社は頑張ります。頑張らないとすれば、市況とかけ離れた価格で、頑張っても売れないのでしばらく様⼦を⾒ておこうという場合がほとんどです。
昔からの付き合いで、お互いに信頼関係ができている不動産会社がある場合は、その⼈に専任を任せるのも良いと思います。

しかし、それほど深い付き合いのない会社や担当者に専任や専属専任で任せるのは、売れる売れない、いくらで売れるかをその⼈に⼀任することになるので、売主からみるとリスクでしかありません。

そのため、売却を任せる不動産会社は3社くらいまでにしておきましょう。
これくらいなら、販売状況の把握しやすく、価格変更などの連絡忘れも防げます。3社の内訳としては、収益専⾨業者2社、⼤⼿1社というバランスが良いと思います。

売却したいと不動産会社に相談したら、どの会社からも⾃社に任せてほしいと営業されます。その中から収益不動産の売却で実績の豊富な会社で、担当者が誠実で仕事ができそうな会社から選ぶようにしましょう。

レインズに登録すべきか?

媒介契約を結ぶときに、必ず確認する必要があるのが、レインズに載せるか載せないかということです。

⼀般の⼾建やマンションならレインズに載せ、ポータルサイトに情報公開をするのが⼀番良い条件でスムーズに売却するための最良の⽅法ですが、収益不動産の場合はちょっと違います。

なぜなら、レインズやポータルサイトには載っていない物件を探している方が多いからです。そういうところに載せずに、スムーズで好条件で売却というのは⾮常に⽭盾した考えですが、収益不動産の売却活動の現場の実情でもあります。

そのため、最初の段階ではレインズに載せない、ポータルサイトにも載せないという条件で売却活動を進めるのが良いと思います。2~3ヶ⽉経っても売れる気配がないならレインズへの掲載も考えると良いでしょう。

販売活動開始

ポータルサイトに載せるべき?

レインズへの登録と同じで、収益不動産を探している方はレインズやポータルサイトには載っていない物件を探していることが多いです。反響を見ながら、売れる気配がないようならポータルサイトへの掲載も検討することをオススメします。

広告不可の物件

なかなか買主が現れず、ポータルサイトに載せてみましょうと提案するも、「広告は絶対にダメ」という方がおられます。インターネットに自分の物件が掲載されるのは、「さらしもの」になるようで嫌だと思われるようです。

こうなると、買主の母数を増やすことができないので、その情報は机の引き出しにしまわれて、眠ったままになるケースが多くなります。または、業者間でグルグルと情報が回り出します。同業者間でグルグル回っている情報は、不動産会社もやる気が出ません。その情報がどこまで正確なのかよくわからないからです。

ある地主の方に聞いた話ですが、自社で保有している物件を売り出したとき、ある業者が「良い物件があるので買ってほしい」と資料を持ってきたそうです。それを見ると、なんと自分が現在保有している物件だったそうです。業者間で情報がグルグル回り、最後は売主のところに回ってきた例です。

しかも、価格が売り出した価格よりも安くなっていたそうです。最初、業者に価格交渉はできるかどうか聞かれたときに「少しくらいなら」と言った覚えがあるそうですが、自分のところに回ってきたときには、当初の売出し価格から1000万円も安くなっていたそうです。

「広告不可」にすると、このようにネズミ算式にその情報に接する不動産会社の数が増えていきます。しかも、肝心の投資家には情報が行きわたっていません。

情報に接する不動産会社が増えると、勝手に価格が変わったり、近所の住人に売り込みに行ったり、入居者や管理会社に勝手にヒアリングしたりと、「極秘」で売り出した意味は全くなくなります。

むしろ、インターネットマーケティングに精通した仲介者1社に任せた方が、投資家にのみきちんと情報が伝達でき、近隣の人が知ることなく速やかに売却が行われることが多いのです。

近所の人に知られずに売れるのか?

「この物件が売りに出ているのを近所の⼈に知られて、変な噂を⽴てられると困る」

「物件を売りに出したら、同業者からあの会社は経営が苦しいんじゃないかと勘ぐられるのが嫌だ」

などの理由から、                                                    「周りに知られないように、こっそり売ってほしい」                                   というリスエストをお客様からいただくことが多いです。

ただ正直なところ、収益物件を売り出しても、周囲にはあまり気づかれません。「知られたくない」「こっそり」とおっしゃる⽅は、⼾建て住宅の販売現場をイメージされていると思います。現地にのぼりが⽴てられ、「売物件」の看板が出ているのをイメージされて、⾃分の物件がこうなるのは嫌だなと思っている⽅が多いのではないでしょうか

⼾建住宅の売却と違い、収益不動産には⼊居者が住んでいます。オーナーとして⼀番恐れなければいけないことは、⼊居者に売ることが知られて不安に思われることです。

「建替えになって、追い出されるかも」

「オーナーが変わったら、家賃が上がるかも」

「管理の質が悪くなるかも」

などと思われて、退去されたら、家賃収⼊が落ち込み、売却価格も思うような値段にならないかもしれません。そのため、現地にのぼりや看板が出ることはありません。

また、インターネットに広告を出しても、それ⾒るのは不動産投資家や不動産業者だけ。近所や同業の⽅に知られることはほぼありませんので、ご安⼼ください。

※以下のe-bookで、詳しくまとめています。ぜひ、ご一読ください。

質問や案内などへの対応

売却活動がはじまると、売却を任せた不動産会社から様々な質問や現地案内の手配を受けることになります。

家賃、修繕費、法定点検、入居者、税金、境界、不具合箇所など、質問は多岐にわたりますので、どこの会社に何をどう伝えたのか、記録を残しておくようにしましょう。価格などの大きな変更は、必ず各社にもれなく連絡を入れるようにしてください。

また現地案内の時間が、売却を任せている会社でダブルブッキングしないよう、現地案内のスケジュール管理も忘れないようにしてください。

伝え忘れが、大きなトラブルに発展することもあります。気持ちよく売却活動が終われるよう情報管理には注意をしてください。

買付が入ったらすること

指値が入った時の判断

出し値通りの満額買付が入れば問題ありませんが、大抵の場合、出し値より低い指値(買主の希望購入価格)が入ります。

買主の多くは銀行融資を使っての購入になりますが、その融資が諸条件により思ったほど伸びない。修繕費を考えると、満額では合わない。市況を見ても、高すぎる。といった理由から、買主は指値をしてきます。

出し値で売れたら、売ってもいいよくらいの気持ちでしたら、お断りすればいいと思います。

でも、何らかの理由により売りたい場合は、残債と必要な手残り分を計算してみてください。次の物件の購入資金にしたい、家主業は向いてないので損しないで売りたいなど、売却理由で納得できる価格は変わると思います。

ただ、銀行融資は市況や現状の物件価値をタイムリーに反映している場合が多いので、いろんな銀行で融資が伸びない・・・という話を売却を任せている不動産会社から聞くようであれば、売りたい価格の見直しが必要かもしれません。

やっぱり、あの価格で売っておけば良かった。もしくは、安く売りすぎた。とならないよう、市況と融資動向は常に情報収集するようにしてください。

付帯条件が付いた時にどう対処するか?

現状有姿と言っても、わかっている不具合をそのまま引き渡すと後で大きなトラブルになり、賠償金も大きくなる可能性があります。設備などの不具合は把握しているものは、すべて情報提供をしてください。今は、個人でも免責とはなりませんので、ご注意ください。

付帯条件については、仲介する不動産会社を通してのやりとりになると思います。買主が大幅なリノベーションをするつもりであれば、同じ不具合でも、手を入れないでほしいという要望がくるかもしれません。逆に、部屋の原状回復とフェンスの破損部分の修理代を出してほしいという条件をつけられるかもしれません。ここは不動産会社とよく相談して、どのように対応するかを検討してください。書式は不動産会社が用意してくれますが、あくまで売主責任を明確にするため、売主名において作成します。

後々、経年劣化による不具合なのに「聞いてなかった。裁判だ」とならないよう、収益不動産の売買仲介に慣れている不動産会社の担当に条件の交渉や記入を依頼できるとベストです。

契約書・重要事項説明書のチェックポイント

売却価格も決まると契約決済の手続きに入ります。書類の作成は仲介をする不動産会社が手掛けますが、付帯条件と同じで売主責任を明確にするため、すべて売主名で作成します。後でトラブルが発生した場合、契約書と重要事項説明書に明記されていることが裁判等の根拠となりますので、不動産会社任せにせず、以下のポイントは必ずチェックするようにしてください。

融資特約

融資特約付きの契約は、断りましょう。

なぜなら、融資特約は、買主が銀行融資を受けることができなかった場合の特約です。つまり、融資が通らなかった場合、売買契約を白紙撤回できるというものです。

融資特約付きで契約をしてしまうと、売主は融資が決まるまで他の商談はすべて断ることなります。その間にもっと良い条件で購入したいという他の買主が現れても、どうすることもできません。それなのに、融資が通らず、契約を白紙撤回され、良い条件で購入したいと言った買主に連絡をしても「他の物件を購入してしまった」と言われたら、また一から売却活動をするハメになります。

そういった機会損失をしないよう、融資が決まった買主とだけ交渉をすると不動産会社に伝えておきましょう。その昔、私も融資特約付きの契約を何度か結んだことがありますが白紙になることも多く、今では融資特約付きの買付も受け取りません。契約が白紙になるのはもちろん、融資額によっては値引き交渉をしてくる場合もあるからです。

買付を出した後の値引き交渉は、収益不動産の世界ではルール違反です。次から商談を受けてもらえなくなるかもしれないので、自分が買主のときには絶対にやめましょう。

手付金

売買契約締結時に、買主から手付金を受け取ります。手付金の相場は、売買金額の10%が相場。売買金額が大きい場合には、5%ほどにする場合もあります。

手付金は、買主が契約をキャンセルしたときの違約金です。手付金を放棄すれば、契約解除できます。ここで注意しなければいけないのが、売買金額は5000万円なのに手付金を50~100万円程度に設定しようとする買主です。5000万円の10%に当たる500万円を放棄する人はそういませんが、50~100万円だと放棄する人が一定数います。

そういう人は、他の物件と天秤にかけている場合がほとんどです。本命物件の融資承認が出たら、手付放棄をして契約解除を申し入れてきます。そうならないためにも、手付金を少額設定してくる買主との契約は、売買金額の10%でなければ契約しないと突っぱねましょう。

ちなみに、売主側からの契約解除には、手付金の倍額が必要となります。諸事情で仕方なく・・・ということがないよう、問題がある場合は契約前に解決するようにしてください。

違約金

手付金を放棄すれば、いつまでも契約解除できるというわけではありません。民法第557条1項では、「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは」と書かれています。

この「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは」とは、引き渡すための手続きを進めたということではなく、外部から見て客観的にわかるような形で、契約の履行行為の一部をしたという意味となります。

例えば、「売主が所有権移転登記に必要な書類を申請した」「相当の期間経過後に買主は残代金を用意し売主に物件の引き渡しを督促した」などが挙げられます。

違約金は売買金額の20%を超えてはならないという制限が、宅地建物取引業法で定められています。こちらも少額設定にしたがる買主がいますが、手付金同様、天秤にかけている場合が多いですから、最低でも10%以上なければ契約しないようにしましょう。

契約不適合責任

2020年(令和2年)4月1日から「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変わりました。

今までの瑕疵(かし)担保責任とは、売買した不動産に「隠れたる欠陥・不具合があったとき、売主が買主に負う責任」を指します。床下のシロアリ、大雨時の雨漏り、壁紙の後ろにあるカビなどがその例です。しかし、買主が購入時にその欠陥について本当に知らなかった、気づかなかったことを証明することが難しく、運用しづらいとされてきました。

改正後の契約不適合責任とは、「引き渡した目的物が取り決めた種類・品質・数量などに不備があった場合、売主が買主に負う責任」を指します。つまり、「契約内容に合ったものかどうか」が問題の焦点となります。

付帯条件の項目でも述べたように、把握している欠陥や不具合は契約前にすべて情報提供するようにしてください。その上で、経年劣化や災害時などの対応を取り決め、引き渡し後に揉めないように付帯条件として記しておきます。

ただし、個人が宅建業者に売却した場合には、契約不適合責任は免責となります。

そのため、不安の残る築古物件などは、宅建業者に売却することをオススメします。築古物件を購入する宅建業者は、欠陥や不具合の出やすい箇所を熟知している場合が多いですから、把握している欠陥・不具合の情報提供をきちんとすれば、後はプロの経験値でリフォームなり、リノベーションなりしてくれます。

個人投資家に売るよりも売却価格が安くはなりますが、後々のクレーム対応を考えたら手離れもよく安心です。

契約後にやること

借入金融機関への連絡

契約が終わったら、融資を受けた銀行に連絡をし、借入金の抹消処理をしてもらいましょう。銀行内で稟議を上げて、検討を行うため、抹消の承認がおりるまでに一般的には3週間くらいかかります。早めに連絡を入れ、決済までに間に合うようにしてください。

抹消承認がおりないことってあるの?と思われるかもしれませんが、あります。

例えば、残債が1億円あるのに、売却価格が9000万円だったら、後1000万円を何で補填するのか?ということになります。この場合、預貯金で補填するか、2棟同時に売却し、もう1棟の売却利益で補填することが証明できれば承認がおりますが、できなければおりません。たまに、残債額を間違えて記憶されている方があり、いざ抹消となったときに大慌て・・・ということもあります。売却前に対象物件の残債がいくらあるのか、必ず確認してください。

後、気をつけなければいけないのが借入期間です。銀行から融資を受け、短期転売と見なされる期間を過ぎたので売却したら、実はまだ経過しておらず、違約金を支払うはめになった方を何人も見てきました。特に、長期固定金利で借りている場合は、要注意です。契約書書かれている違約金に関する事項を見て、借入期間は何年だったか、現在何年目か必ず確認してください。

司法書士との打ち合わせ

売却により所有権の移転が発生するため、その手続をしてくれる司法書士の方と打ち合わせをしてください。懇意にしている司法書士の方がいなければ、銀行や不動産会社の担当者に紹介してもらいましょう。

打ち合わせ内容としては、必要書類や移転手続の流れについてです。

この必要書類に、登記識別情報通知書(旧権利証)が必ず入りますので、事前に用意しておいてください。

万が一、紛失していても、権利証は再発行ができません。紛失したとわかったら、すみやかに司法書士と法務局に相談してください。権利書がなくても物件の所有者であることを証明する「事前通知制度」や「不正登記防止申出」などについて説明してくれますので、すぐに手続きをしましょう。

その他、必要となる書類は以下になります。

  • 本人確認書類
  • 実印
  • 印鑑証明
  • 住民票
  • 固定資産評価証明書
  • 固定資産税・都市計画納税通知書
  • 実測図
  • 境界確認書・越境の覚書
  • 設計図書、建築確認通知書
  • 検査済証
  • 管理費・修繕費の確認書
  • 鍵(複製も含めて全部)

決済・引き渡し日に合わせて移転の手続きを進めますが、書類が揃わなかったり、不備があると手続きができません。書類の遅れは決済や引き渡しの延期にもつながり、買主や金融機関、司法書士に迷惑がかかります。書類は早めに確認するようにしてください。

電気、ガス、水道、インターネットなどの解約または名義変更

共用部の電気や水道、プロパンガスやガス機器のリース、集合住宅向けインターネット、屋上太陽光発電、敷地内電柱などの名義変更や解約も、決済日までに行ってください。

売却仲介をした不動産会社が手続きをするのが一般的ですが、契約者でないと受け付けてくれない会社もあります。その場合は不動産会社からの連絡があったら、すぐに手続きをするようにしてください。

また、決済日によっては、使用料が日割り計算となります。多くの場合は、こちらも不動産会社が買主との調整をしてくれますので、精算明細の確認をしてください。

こちらの契約書も事前に準備し、引き渡しがスムーズに行えるようにしましょう。

火災保険

火災保険を契約した代理店に連絡を入れて、契約を解約しましょう。すると、決済日から日割り計算をして、残りの保険料を返還してくれます。

契約が決まっても、決済日までは絶対に保険を解約しないようにしてください。地震や大雨などの自然災害、もらい火による火災など何が起こるかわかりませんから。

引き渡し

買主が融資を受ける銀行で決済を行った後、売却金額が振り込まれたのを確認し、鍵や書類などの引き渡しを行います。

これで、売却終了です。

以上が、売却活動の進め方です。

これは、あくまで一般的な賃貸マンション・アパートについてです。簡易宿泊所や寮、再建築不可の物件など特殊な事情のある物件は、売却活動の仕方が少し変わってきます。もし、そのような物件を売却したとお考えの場合は、弊社に一度お問い合わせいただければと思います。お話しを聞いて、物件に合わせた売却活動をご提案させていただきます。

↓売却のご相談は、ぜひ弊社・清陽通商株式会社にお問い合わせください。

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