所有している物件を売るのか、売らないのかという判断は非常に難しいものがあります。
それ以前に、「そもそも売れるのか?」「売れたとしても、大損をするのではないか?」という思いから売却を躊躇される方も多いようです。
今回は、『不動産投資をして失敗したサラリーマンの方が、売却して復活した時の話』を紹介したいと思います。
学費のために始めた不動産投資
大阪市都島区にお住まいのHさん(仮名)は大阪市内の一部上場企業に勤めるサラリーマン。奥様とお二人のお子様と幸せな毎日を送っていました。しかし、上のお子様が高校に入学した10年前、二人の子供を大学に進学させるには自分の給料だけでは足りないのではと思うようになりました。
勉強熱心なHさんは色々副業の研究をした結果、不動産投資が良いのではないかと思うようになりました。
ネットで検索したところ、ある不動産会社が主催するサラリーマン向けの不動産投資無料セミナーがあるのを見つけました。休日にそのセミナーに行ったところ、同じくらいの年代のサラリーマン風の人が大勢いました。講師がサラリーマンで成功した人の話を、次々と紹介していきます。
Hさんは、不動産投資をやってみようと思うようになりました。
セミナーがあった翌日、その不動産会社の営業マンから電話があり、良い提案が出来そうだということなので、一度会ってみることにしました。
その営業マンは、奈良県生駒市にちょうどぴったりな物件がある、融資の斡旋も自分たちが行うし、買ったあとは一括で借り上げるので安定した収入があると説明しました。これで子供の学費の足しになると判断したHさんは、営業マンが差し出した「不動産購入申込書」に捺印をしたのです。
物件を見る人なんていない
購入すると決まったら、不動産会社から色々な資料を出すように言われました。源泉徴収票や、預金通帳のコピーなどを揃えて渡しました。住民票を取るために会社近くのコンビニのコピー機にマイナカードを乗せて申請している時、会社の同僚とばったり出会いドキッとしましたが無事に完了。
言われた資料を出してしばらくすると、融資が通ったので契約しましょうと電話がありました。指定された日の仕事帰りに、不動産会社の事務所に行き、言われるがままに契約書や重要事項説明書という資料に記名・捺印をしました。
契約前に一度現地を見たほうが良いのかなと思いましたが、「投資なんで見る人なんていませんよ」と営業マンに笑われたので、そんなものかなと思い現地には一度も行きませんでした。
1週間後に銀行で融資の手続きをすると呼び出されました。
スルガ銀行というあまり聞いたことがない銀行でしたが、不動産投資をするサラリーマンはみんなここで融資を受けると説明されました。銀行に行って、色々と出される書類に捺印をしました。数日後に、営業マンから電話がありました。
「おめでとうございます。本日無事に所有権移転が完了しました。あなたも、これからは大家さんです」
4年後、管理会社が突然の撤退
貯金通帳を眺めるだけの充実した日々
不動産会社の営業マンから渡された資料によると買った物件は、奈良県生駒市にある一棟賃貸マンションで、築25年、鉄筋コンクリート造で部屋は1Kの間取りが20室あるとのことでした。その会社が管理も行い、一棟を一括して借り上げるのでオーナーさんは毎月通帳だけを眺めていれば良いという説明でした。
毎月20日に不動産会社から家賃が振り込まれ、ローンが引き落とされても毎月10万円以上残ります。固定資産税や火災保険を払っても子供の学費分は十分賄える金額が手元に残りました。
Hさんは自分がちょっとした成功者になったような気分になり、毎日充実した日々を送っていたのです。
購入してから4年近く経ったある日、管理会社の担当から電話がありました。
「今まで一括借上げをしてきましたが、管理業から撤退することになったので今後はご自身で運営してください」
実は大赤字だったことが発覚
まさに青天の霹靂でした。
どうすれば良いのかと担当者に食い下がると、物件近くの駅前にある不動産会社を紹介され、こちらに相談するよう言われました。
紹介された不動産会社に行くと、
「ああ、あのマンションね。今のままでは難しいよ。あなた現地を見たことある?」
一緒に見に行って愕然としました。写真で見るのと違い、薄汚れていて手すりや非常階段は錆びて赤茶けています。室内もとてもじゃないけど住もうとは思わないほど古びた感じです。
「このままじゃ、空室が出ても二度と入居者はつかないよ」と言われ、紹介してもらった不動産会社と管理契約を結び、リフォームの見積を取りました。見積もりを見て、びっくり。
金額は2000万円を超え、とても払える金額ではありません。今までの利益を遥かに上回る金額で事業として大赤字の投資であることに気が付きました。
「自己破産」になったら、どうしよう
家賃収入をローン返済が上回る
とりあえず手元の貯金で出来ることはしようと、空室の改装だけは行いました。提案されていた外壁塗装と屋上防水工事は、お金がないので断らざるを得ませんでした。新しく管理を任せた不動産会社も頑張ってくれ、空室はなんとか埋めてくれて満室になりました。
ところが、数カ月後に退去が一気3室も出たのです。
この部屋も当然リフォームする必要がありますが、貯金は底をつきました。そうなると、今度は家賃収入よりローンの返済が上回るようになりました。
「これ以上空室が出れば払えなくなる」Hさんの頭の中に「自己破産」という言葉が浮かびました。
夫婦喧嘩の毎日
Hさんの奥さんは、元々この不動産投資には反対でした。
しかし、子供の教育費を考えると賛成せざるを得ませんでした。ところが、収入を増やすつもりで始めた不動産投資がとんでもない赤字と分かり、このままでは自己破産も覚悟しなければならないとなり、その怒りの矛先はHさんに向かいます。夫婦喧嘩が絶えなくなり、仲の良かった家族の関係もギスギスするようになりました。
Hさんはある日、会社に行こうとして自宅の玄関から出た途端、動けなくなりました。病院に行くと過度のストレスによるもので、しばらく休むように言われました。このままではどうなるのか?
Hさんは、解決方法が分からず悶々とした日々を送ります。
損せずに売り抜けることに成功
今の市況なら売れるかも
Hさんの奥さんがネットで色々調べたところ、この10年近く不動産の価格がかなり上がっているようです。もしかして売れるのではないかと、一度不動産会社に相談することを勧められました。
ネットで色々調べたところ、大阪で賃貸マンションの売買を専門に行なっている不動産会社が何社もあることが分かりました。
Hさんは不動産会社に強烈な不信感を持つようになっていたので、とにかく誠実な会社では?と思ったところに何社か連絡を入れました。すぐに折り返しの連絡があり、一度会いましょうということになりました。事前に、物件の住所や管理会社からの入金レポートなどをメールで送っておきました。
最初に訪問した会社は、買った時の営業マンと同じ匂いがしたので適当に話を切り上げ退出しました。
二軒目に行った不動産会社では任意売却というのを勧められました。ただ、この方法だと売れても借金は残るので踏み切れませんでした。
三軒目に行った不動産会社では社長が自ら対応してくれましたが、こう言われました。
「ローン残債などを見ていると、損をせずに売り抜けるのは正直難しい。しかし可能性は無いわけではないので、一度売りに出すのはいかがでしょうか?」
Hさんはこの可能性に賭けることにしました。
高値での購入理由は決算対策のため
三軒目に訪問した会社と媒介契約を締結し、売却を依頼しました。しかし、そう簡単には売れません。関心を持つお客さんはいるようですが、現地を見て相当な修繕費用が掛かるので、それを加味すると相当安く買わないと収支が合わないとのことでした。
数ヶ月経ち、このまま売却を任せても良いのかなと不安になった頃に、購入希望者が現れました。購入希望者は大阪府四條畷市の不動産会社で、決算対策で翌月までに物件を買わなければいけないとのこと。
相当な価格交渉があったようですが、仲介会社の社長が頑張ってくれて、なんとかローンを全額返済し、税金や仲介手数料等の経費を払ってもギリギリ損をしないで売り抜けれる価格でまとめてきてくれたのでした。
桜の花がチラホラ咲き出した頃、Hさんは登記書類と実印を持って大阪厚生信用金庫というところに行きました。聞けば、不動産会社が融資を受けるときによく使ってる金融機関とのこと。司法書士が差し出す書類に捺印をして書類を渡すと30分くらいで取引は完了しました。
Hさんはついに損をすることなく、奈良県生駒市の一棟賃貸マンションを売却することに成功したのです。
場合によっては売却する選択も検討
その後、Hさんは重荷が無くなって毎日元気に暮らしています。もう、ストレスで体が動かなくなることはありません。奥さんや家族との関係も元通りになり、以前のように笑い声が絶えない家庭に戻りました。お子様も大学生になり、その学費もなんとかやりくりしながら払えています。
ある日、大阪のとある地下鉄の駅で降りたところで、売却をしてくれた会社の社長とばったり出会いました。「あの時、思い切って相談に行って本当に良かったです。おかげで今は悩みもなく元気に暮らしています」
いかがでしたでしょうか?
この話は、個人情報保護のため案件を特定できないよう一部の背景を変更していますが、概ね事実に沿ってます。
もし不動産投資が上手くいってないようでしたら、思い切って信頼できそうな不動産会社に相談されることをお勧めします。もちろん、弊社にご相談いただければ、どうするのが最適なのか一緒に考えながら最良の結果を迎えるよう全力で対応します。
ぜひご一報ください。